ピッティ宮殿のボーボリ庭園
フィレンツェの
では廻ってみましょう。
Cf.Gardenvisit.com Boboli Garden in Florence, Italy (History of The Garden)
私がこの庭園を見て思い浮かべたのはマンディアルグ(André Pieyre de Mandiargues)の『大理石』(Marbre)にある「プラトン的立体」という章でした。この章は"シエナを正午の食事後に出発し南へ向かいキャブレタの調子が悪いこともあって、火口湖のほとりの村に数日滞在し"、"その村を正午に出て夕方にはローマに着いた"というのですから、舞台はトスカーナの南の方ということでしょうか。火口湖には島が二つあり、その奥の島には糸杉に囲われて"五個の正多面体が五角形の5つの頂点を形作り、その中心にはうつぶせになって眠る人の巨大な彫像があった。"(人文書院 澁澤龍彦、高橋たか子訳 より)という場面で、そこに描かれた情景はそれほどボーボリ庭園と似ていないかもしれません。
しかし、ボーボリ庭園の南半分にあたる生け垣の迷路風の道と島の泉水(Isolotto)周辺は、このマンディアルグの小説と同様な「幾何学的な洗練と表面からは隠された何か秘められた"もの"あるいは"意味"」を感じさせます。
水飲み場
円柱の草地の胸像たち
生け垣の迷路
ユピテルの胸像
鳥網場の鳥の水飲み場
騎士の庭園へ入ります。
騎士の庭園からの南東方向の眺め。突然トスカーナ地方の田舎の景色に遭遇して、都市国家というものを実感させます。
右の建物は現在ポーセリン美術館です。ボーボリ庭園の入場券を買っていないと入れない場所にありますが、追加の入館料を払う必要はありません。
左は騎士の庭園の入り口からフィレンツェ市街地の方を見たところ。すぐ下にはネプチューンの噴水、円形劇場、ピッティ宮殿が見えます。
右は逆に円形劇場から見上げた景色。ケレス((セレス)豊穣の女神)の像の向こうにはネプチューンの噴水があります。もっと登ると騎士の庭園があります。私には魅力が少ない一帯。
円形の野外劇場には惹かれるところがなかったのですが、脇の茂みには通風口?…ということは何かが地下にある?周囲を囲う壁の裏には幾つかの洞窟があったかもしれないという説も読みました。
庭園の北端からベルベデーレ要塞(Forte di Belvedere)を望む。
ベルベデーレ要塞は美術展などに使われており、このMyst風のオブジェはその展示物のようです。
残念ながら、入口そばの洞窟(グロット、The grotto )は工事中で見ることができませんでした。
2004年 夏