宇治市宇治下居
白長社
下居神社
宇治市宇治野神 野神社
祭神が天児屋命というのが珍しい。天児屋命は中臣氏・藤原氏の祖神。この辺りも藤原氏の荘園だったというご縁からだろうか。
地元の方のお話では、もとは「ノーガミ」と呼んでいたが、現在は住所が野神なので、「野神さん」と言われている。 次に山城宇治の野神の例についてみてみよう。この野神は現在は地域の氏神として祀られており、並宮として稲荷が祀られている。この稲荷は第二次世界大戦前までは野神の社の中で一緒に祀られていて、野神と稲荷が同一の神格であることを示している。この社の立地条件は堂の山の山麓に広がる丘陵地にあって、広大な茶畑の一角に位置している。境内には巨大な杉の木があって野神の木とされた。この社は近くに住む茶畑の所有者である松阪家が祀っていたもので茶畑の神としての野神であったことはまちがいないだろう。又この山麗一帯には野神という地名が点在しており、合計四ヶ所を数えることが出来る。現在は住宅地化してしまったが元は茶畑や畑地であって、かつては松阪家が祀ったと同様各家毎に野神を畑の中に祀っていたと推定出来るものである。
*1
右の地図からも、この辺りは分譲住宅地であることがわかる。地元の方のお話では、茶畑だったが、某社の社宅が造成された。その後、社宅が廃止され分譲地として再開発された。そのとき土中から蛇がいっぱい現れたので、ここに祀ったのだという。
引用文献・参考資料
- *01 山崎時叙「稲荷信仰と山の神・野神」五来重編『稲荷信仰の研究』山陽新聞社 1985 680頁