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愛知川右岸(北側)では野神さんは見当たらず「山の神さん」ばかりになる。
抑揚は、山の・カミさん。

愛荘町川原の御崎神社

右下の説明では触れられていないが、また、近世に創始された御崎神社(川原)の祭りは、愛知川の対岸の村々と争った草刈場相論による義民を祀る社で、堤防上にあった野神の神霊を移して合祀したと伝えられる。(『近江愛知川町の歴史第3巻民俗・文献史料』愛知川町史編集委員会編 愛荘町発行 2008 78頁)
愛知川右岸でも野神が祀られていたことを示す貴重な場所。右岸では河辺林を「ヤマ」と呼んでいたという話も聞いた。そのため、いつしか川沿いの野神さんは山の神と呼び方が変わっていったのだろうか。。

枯死してしまっているが、かつてのご神木?
御崎神社

川に近い内側の堤防上の道
御崎神社

水面と川原、堤防内側の竹や樹木の枝には多数のカワウ。

愛知川が西へ曲がるあたりなので、愛荘町川原は攻撃面の背後となる。堤防は二重になっており霞堤のようだ。神社はその間の湿地にある。田地は堤防よりもかなり低く見える。

外側の堤防

 

愛荘町川原

 

愛荘町東円堂の山の神さん

鎌倉時代に興福寺東円堂が領有権を持つ荘園だったのが地名に残っているという。興福寺には北円堂、南円堂のほかに、奈良県庁の東に平安時代に建立され室町時代に焼失した東円堂があった。奈良の八重桜で有名な場所でもある。東円堂の山の神さんは数か所で祀られている。

東円堂の山の神さん

東円堂の山の神さん


東円堂の山の神さん

東円堂の山の神さん


東円堂の山の神さん

山の神さんは春日神社の左側に祀られている。祭礼は8月7日に行われる。『滋賀県の自然神信仰 滋賀県自然神信仰調査報告書(平成一四年度~平成一九年度)』(*2)によると、東円堂には異なる山の神をまつる幾つかの組があるといい、ここはその一つ。もとは神社の前を流れる安壷川沿いを北に行った森の中にあったが、圃場整備でここに移されたという。鼻長堂という祠に祀られていたらしいが、現在は石造五輪塔が風雨に曝されている状態。



平居の八幡神社社

愛荘町平居の八幡神社社殿左にある石造の祠。


平居の八幡神社社

平居の八幡神社社



愛荘町畑田の山の神さん

天一神社社殿の左側にある。

畑田の山の神さん

畑田の山の神さん


本殿左奥に三つ離れて並んだ石が山の神さん。昔は天一神社東側にあったが、公園の造成のために現在地へ移された。(*2)

畑田の山の神さん

畑田の山の神さん


畑田の山の神さん

畑田の山の神さん


畑田の山の神さん

畑田の山の神さん


東近江市西菩提寺の山の神さん

日吉神社の東側、若干離れたわかりにくい場所に山の神さんの祭場はある。祭礼は8月7日(*2)。小学生が行なう。

西菩提寺の山の神さん

西菩提寺の山の神さん


西菩提寺の山の神さん

西菩提寺の山の神さん


西菩提寺の山の神さん

日吉神社。西菩提寺住居地のほぼ北端に位置している。



東近江市南清水の山の神さん

ジュラロン株式会社滋賀工場入口左側にある。もとは愛知川に近いところに祭場があった(*2)

南清水の山の神さん


(*2)

南清水の山の神さん

南清水の山の神さん


南清水の山の神さん

南清水の山の神さん


東近江市大清水の山の神さん

大清水の山の神さん

大山咋神社から御旅所を結ぶ道の御旅所近の木の下にある。
祭礼は8月7日に近い日曜日。ここを起点に五か所の山の神を回る(*2))。


大清水の山の神さん

大清水の山の神さん


東近江市中岸本町

 
中岸本町

 
中岸本町

東近江市上岸本町

上岸本の山の神は、集落の外れ、県道百済寺甲・本上岸本線から少し入ったところにある。集落よりは少し高い位置にあり、その段丘上に以前は平地林が広がっていて、地元でそれをヤマと呼んでいた。昭和二七(一九五二)年頃、上岸本でプルドーザを購入し、昭和二九年頃に平地林を開墾して田に変えたが、その入り口に当たる場所に今も山神は祀られている。七日正月が山神さんの日で、この日が過ぎないと山へ入れなかった。祭場は女人禁制で、平生から女性は近寄らない。毎年八月二日が基参りで、その前に墓掃除をし、そのあと山神さんの草刈りを行うが、掃除は男性だけで草を刈る。山神の行事は夕刻に行われる。藁ツトを家の男の数だけ作り、ハンノキに結びつけて持参する。ツトの中に青石を二つ入れる。一つという人もあるが、川で拾ってくる。ヌリデの木で男女の神を作り、祠の前に輪(土俵)を面く。男女神がトコトコと進み出て取り組み、最初男神が寄り倒し、次に女神が勝ち、三回目は男神が倒して二勝一敗とする。午後四時から藁を一束ずつ持ち寄り、注連縄を左縄の三つ編みでなう。もとは寺の前の津島さんのところで縄をない、行列して山神さんへ参り、祠の前へかけた。一五分ほどでできあがり、四時二〇分、注連縄を掛ける。注連縄に木をかけて、声を合わせて唱えごとを言いながら揺する。「ユーラヨ、ユラヨ、ことしや豊年万作稲穂が下がる。よかれよかれ」「メロン大根(作物の名を入れる)作ケ物皆よかれ」などと注連縄を揺らし唱和するので、この行事をユラヨとも呼ぶ。終わるとすぐに注連縄を外し、青竹を含めて全部燃やす。昔は書き初めを持って来て笹にくくりつけて焼くと上手になるといった。この日は、伊勢大神楽が来る日で、以前は伊藤森蔵がドテヤに四日ほど泊まって回ったていた。(平成一七年一月七日㈲調査、長谷川)*12

 
上岸本町

田になった平地林
上岸本町

河岸段丘を下る。
上岸本町

 
上岸本町

左の家の手前でVターンし上の道を上がる。
上岸本町

モリに入る。
上岸本町

祠が2つある。
上岸本町

山ノ神はどちら?
上岸本町

もう一つは野神?
上岸本町

 
上岸本町

 
上岸本町

 
上岸本町

 
上岸本町

 
上岸本町

春日神社
上岸本町の春日神社

 
上岸本町の春日神社

参考資料

  1. *2 滋賀県教育委員会文化財保護課編『滋賀県の自然神信仰 滋賀県自然神信仰調査報告書(平成一四年度~平成一九年度)』
    滋賀県教育委員会 2007
  2. *8 李春子「滋賀県の『野神信仰』と持続保全の行方」『社叢学研究 第9号』社叢学会 2011
  3. *9 李春子『神の木 日・韓・台の巨木・老樹信仰』サンライズ出版 2011
  4. *10 五個荘町史編さん委員会『五個荘町史 第四巻(3);4(3)民俗』五個荘町役場 1993
  5. *11 橋本章『近江の年中行事と民俗』サンライズ出版 2012
  6. *12 滋賀県教育委員会文化財保護課編『滋賀県の自然神信仰 滋賀県自然神信仰調査報告書(平成一四年度~平成一九年度)』
    滋賀県教育委員会 2007 80~81頁

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