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木之本町黒田

黒田集会所と黒田氏旧縁之地碑

 
黒田集会所

 
黒田集会所

 
黒田集会所

 
黒田集会所

 
黒田集会所


NHKの大河ドラマの事は脇に置いておこう。
黒田郷は、歴博の「日本荘園データベース」によると延久二年(1070)初見の伊香庄(荘園コード:2111002)*1の一部だった。「ムラの戸籍簿」データベースには、〔室町将軍家御教書〕南禅寺徳雲院末寺龍雲寺領近江国黒田・石作両郷領家職、同古橋郷(中略)段銭以下臨時課役事、早任去年十二月廿六日御判之旨、可為守護使不入地之由、所被仰下也。仍執達如件。/長禄□年□月二日 右京大夫(細川勝元)(花押)という「妙心寺文書」が『東浅井郡志』に記載されているとしている*2。地元の方のお話では、黒田郷は妙心寺領だったという。
また、黒田郷は実質的には5つの集落に分けられる広さがあるにもかかわらず、天保郷帳等には全体が一つの村として村名が記載されていることが興味深い。つまり、この集会所周辺の本郷の他の西黒田や大澤は枝村という位置づけになっていたということだろうか。

 
黒田集会所

国道365号線にはシカ、イノシシ、タヌキが出没する。
大澤

大澤神社

延喜式神名帳式内社に載っている大澤神社に比定されるが、滋賀県神社庁のWebサイト*3で検索すると「御祭神」が表示されないという不思議な神社。主祭神は沢道彦命らしい。北川和秀群馬県立女子大学教授の「北川研究室」サイトにある「『新撰姓氏録』氏族一覧」というページ*4で検索すると、「第一帙(皇別)」の中に河内国 豊階公(河俣公同祖) 彦坐命男沢道彦命之後也が見つかる。つまり沢道彦命は豊階氏の祖先で彦坐王の子だったということになる。彦坐王は『日本書紀』の表記で、開化天皇の子とされる。その子で垂仁天皇の皇后だった狹穗姬と兄の狹穗彥王は、垂仁天皇五年に起きた天皇暗殺未遂・反乱の中心人物となる。沢道彦命の名は出てこない。
『古事記』で彦坐王は日子坐王と表記され、その子は凡日子坐王之子、幷十一王いたが、狹穗彥王は沙本毘古王、狹穗姬は沙本毘賣命と出てくる。沙本毘古王を沢道彦命とする見解もあるようだが、断定できる根拠は乏しい。この沢道彦命を主祭神とする神社がここにあるというのは不思議だ。
長浜市指定文化財の「石田三成大澤村九ヶ条掟書」が残る。

 
大澤神社

 
大澤神社

正面は拝殿
大澤神社

 
大澤神社

本殿
大澤神社

 
大澤神社

龍頭山大澤寺だいたくじ

すぐ西に観音寺があり、こちらは地元では高観音さんと呼ばれている。

 
大澤寺

Hint
大澤寺

美濃大返しに絡んだ伝承がある鐘
大澤寺

佐久間盛政は大岩山砦に布陣していたはずではある
大澤寺

神亀元年に行基作と伝承される像高約50cmの千手観音菩薩立像を安置している無住の曹洞宗寺院で黒田の人々が2年交替で護っている。神仏分離以前は大澤神社の観音堂という位置づけだったと言われる。石道へ修理に出した記録があるが、赤い唇や眉と眼の造形など、顔の雰囲気は石道寺の十一面観音立像を思わせるところがある。

正面に小谷山。高観音と呼ばれていることに納得。
大澤寺

 
大澤寺

木之本町黒田の天王山安念寺

左に仏堂、右は牛頭天王社という神仏習合の場。

安念寺

安念寺


安念寺

安念寺


安念寺

安念寺


 

牛頭天王社。


安念寺

安念寺


ここの仏像は、いただいたパンフレットによると元亀元年(1571年)織田信長の比叡山焼き討ちの際、この寺も天台宗の寺として焼かれた時に村人が仏像を田圃の中に埋めて護ったという。文政年間(1818~1830)に掘り出され仮堂を建てて安置した。17体あったものが、平成12~15年(2000年~2003年)に状態の良い手ごろな大きさのものだけ7体が盗まれて現在は10体となっている。 田圃の中の湿った状態で長らく埋まっていて、その後も子供が川遊びの時に浮き輪代わりに使っていたとかで、大まかな輪郭は残っているが極めて無残な状態になってしまっている。この状態でもそのままで祀っておこうというのは正しい選択だろう。

霊応山(黒田)観音寺

(黒田)観音寺

(黒田)観音寺


説明板に書いてあるように准胝観音(じゅんていかんのん)像。千手観音は一般的に合掌している二本の手のほかに左右に各々20本の手を持っている。そのため一本一本の手は細い棒のようになってしまっているが、准胝観音の手は18本で、各々がふくよかでいかにも仏母という感じだ。但し、その顔は口髭が鮮明で男性的。
塔身部分が抜けて背が低くなってしまっている宝篋印塔は黒田家のものと言われている。笠の隅飾りが飾り気なく垂直に立っているので鎌倉時代のものだろうか。

木之本町黒田のアカガシ

右の坂道を上り
木之本町黒田

スイッチバックして山道へ入り
木之本町黒田

防獣フェンスの扉を開けて先に進む。
木之本町黒田

 
木之本町黒田

 
木之本町黒田

 
木之本町黒田

 
木之本町黒田

 
木之本町黒田

 
木之本町黒田

 
木之本町黒田

 
木之本町黒田


この場所のこの木はとりわけ神々しい存在感に満ちている。
大音のシロカシ(白樫)と黒田のアカガシ(赤樫)とが対のように言われることもあるらしい。上の説明板に書いてあるように、アカガシが里に近いところに自生しているのは珍しいとか。
黒田農業組合が毎年8月に野神祭を行っている。

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引用文献・参考資料
  1. *01 日本荘園データベースの検索結果(詳細)
    https://www.rekihaku.ac.jp/up-cgi/getdocrd.pl?tn=2&ti=2111002&h=./history/w11565334545_25094&ch=2&p=param/soue/db_param&o=1&k=20&l=&sf=0&so= 2019.8.9確認
  2. *02 「ムラの戸籍簿」データベースの検索結果
    https://drfh.jp/mura/index.php?title=%E8%BF%91%E6%B1%9F%E5%9B%BD#.E4.BC.8A.E9.A6.99.E9.83.A1 2019.8.9確認
  3. *03 滋賀県神社庁http://www.shiga-jinjacho.jp/ 2019.8.9確認
  4. *04 『新撰姓氏録』氏族一覧http://kitagawa.la.coocan.jp/data/shoji.html 2019.8.9確認

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